第5章 人間の心
この章には何が書かれているか
たとえば、思い込みは人間にはなくてはならない状態
硬い信念は、それが実情と遠くても(というよりも遠いがゆえに)、人間の活動にとって必要となる
感情的な思い込みや執着をこれまでの認知科学は無視していた
社会的インタラクション、ユーモア、感情や動機づけ、創造性が置き去りにされている
実験室で再現可能なものだけに光が当てられている
精神物理学、反応時間、記憶、問題解決
心は強力な情報処理装置と捉えられている
rashita.iconたとえば、インプット・アウトプットという表現からもそれは伺える
ハードサイエンスは有用で、たくさんのことがわかったが、脳や人間の認知にはそこでわかったこと以上のものが含まれている。
脳は単純ではなく複雑な器官で、認知はさらに他者とのインタラクションによって生じているという複雑さがある。
人間は、シャア汽笛で、インタラクトな生物である。
生きて行く上でたいせつなことはたいてい、世界とのインタラクション、他者とのインタラクションとして、頭の外側で起こる
rashita.icon重要な指摘。
人間と機械との間には類似点より相違点の方が多い
だからこそ互いに補い合うことができる
算数や数学的などは人工的な言語と言え、論理的勝つ無矛盾
機械にとっては理想的にできていると言える
人間がそれを使いこなすのには相当の訓練が必要
自然言語はそれとは異なる
人間はパターン、イベント駆動し、共感といった能力を持つ非常に複雑な反応をする
特に、内省という思考能力が他の類人猿との違い
人間特有の知的能力
美術
ゲームやスポーツ
ユーモアやジョーク
言語、その発明と創造的・構成的な使用
音楽
儀式祭礼
風刺、ものまね、絵、ことばなどによる
制度としての教育、および結果としての集積された知識と文化
物語
美術
これらは動物や機械には欠けている
rashita.iconそもそも必要としていないとも言えそう
こうした能力には、洗練された心が必要
知識やメタ知識を表し、表象を形成し、表象と表象を比較し、世界で起きたことの因果的説明を構成する能力を持つ心のこと
心のパワーは表象形成能力にある
そこには他者の視点に立つ能力も含まれている
われわれは他者の行為をその人の意図や願望の顕れとして捉えるが、このことは、人間が自分の心と他人の心とに対する何らかの理論をもつことを意味している
rashita.icon少し難しいところ。
人間は説明好き
メンタルモデルによって説明を為す
メンタルモデルは以下の役に立つ
過去の経験の理解
これから経験することの予測
何を予期すべきか、どう対処すべきかを教えてくれる
人間の知
社会的インタラクション
ウソをつく能力
計画や意図を持った協働作業
教授
真似ることは他の動物もできるが、「教える」ことをするのは人間
アーティファクト
複雑な道具
道具を作るための道具
認知のための道具
心理学者マーリン・ドナルド
人間の知が進化の段階を経て、現在の形式になった
能力の発揮を外部にある人工の表現に強く依存する形のこと
進化は通常小さな前進しかしない
進化はクラッジ(でたらめな構造でもちゃんと動くもの)を作り出す 人間の認知の発展
エピソード記憶の段階
ミメーシスの檀家五百
神話の段階
外部にある表現の段階
自己への気づき(self-awareness)と意識の発達こそが人間知性の進化において決定的な一歩 単独で活動する動物であれば
環境の現在
過去の記憶
そこからの予測
の三つがあればいい
協働の活動
自分の行動を他者と同期、協調させることが必要
そのために、他人の意図や動機を知る能力がいる
協調の源のタイプ
生物学的協調
神経系に配線された(ハードワイヤード)もの
単純な協力や動機であればこれで対応できる
固定的、変化しない、柔軟性が欠如したものになる
認知的協調
心によって駆動するもの
真の協調行動には、知識の共有と、協力に対する意識的な欲求とが不可欠
教育について
見様見まねでうまくいくことはある
もし、うまくいかなければ教育者はどうするか?
行動を複数のステップに分解し、ステップのつなぎをどのようにすればいいのかを監督できるか
相手の心の状態を知らなければ、そうした導きは不可能となる
相手の知識が欠けていることを知り、自分の行動によってその知識を与えられることを知らなければならない
ドナルドいわく、真のコミュニケーションには、他者に関する知識を表現する能力ことが必要
チンパンジーは模倣はできても、演技(mime)ができない
演技というのが、単なる真似と違う点は、それが他者への情報伝達を意図している点である。真似は、他者の行動を繰り返すだけ、演技は、行為を通して意図の伝達を果たすのである。
演技によって、ことばなしである程度込み入った意図や知らせたいことの伝達が可能になる
だからこそ、ミメーシスの段階をドナルドは設定した
ただし、演技は言語よりはパワーが落ちる
言語は、考えを表現するための強力な手段で、世界の状態に対する単なる言明以上のことを伝えられる
願いや望みなども
プランニング
単純なプランニングは人間以外の動物でも行う
複雑なプランニングは人間だけ
複数の案を考え、それぞれの案が意味するところを斟酌し、選択する
深い内省的思考が必要
意思決定や問題解決と記憶について
人間の直感モード
素早い識別過程がうまく機能するのは日常で遭遇する出来事や人などの数が限られているから
人が用いることができるのは、記憶内で利用可能なもの
最近のことか、大きな出来事に偏っている
これが意思決定の質に影響を当てる
物語の力
経験をまとめあげ、出来事だけでなく不書けk津名周囲の文脈も捉えられる
情報、知識、文脈、感情をひとつのパッケージに包み込める
人間は物語ることがすきだ」 by ロジャー・シャンク
一つひとつの出来事を心の中のシナリオといsてまとめあげ、そのシナリオへ当てはまるように行動・説明・反応を選んでいる
相手に向けて、自分に向けて
論理
論理は人工的
自然な思考からではなく、数学から派生した
論理は、世界に確定性を仮定している
論理は一種の捨象
本質的ではないものを分離しようとするあまり、ものごとを極端に単純化してしまう
物語の力再び
物語には、形式的な解決手段が置き去りにしてしまう要素を、適格に捉えてくれるすばらしい能力がある。論理は一般化をしようとする。結論を、特定の文脈から切り離したり、主観的な感情に左右されないようにしようとするのである。物語は、文脈を捉え、感情を捉える、論理は一般化し、物語は特殊化する。論理を使えば、文脈に依存しない汎用的な結論を導き出すことができる。物語を使えば、個人的な視点で、その結論が関係者にどのようなインパクトを与えるか、理解できるのである。
p.227
二種類のエラー
スリップ
意図しなかった行為の実行
ミステイク
意図そのものが間違っている行為の実行
人はエラーを起こすが、エラーを起こすようにデザインされていると思えるような状態もある
注意の固定
認知的ヒステリシス
機能性固着性
認知的狭窄
トンネルビジョン
一度はまると、抜け出すのが難しい
間違っている診断
『NOISE』
専門家というのはふつう知的に診断する。間違っている場合でもそうしている。診断は事実を説明し、しかももっともらしいと判断される。だから、誤った診断というのは、ほとんどの場合が体験していることを知的に説明したものになる。それも事実を説明しているのである。したがって、新しい情報が得られても、最初に下した診断が描く絵によって解釈されてしまう。矛盾すらもうまくつじつまが合わせられてしまう。携わる人が多くなれば、間違いを引きずってしまう可能性も高くなる。みんなが古い仮説を棄却しないで済むような新しい案を器用に考えてしまうからである。
対話的に使えるデータベースが必要
われわれに必要なのは、過去の統計や事例が対話的に使える豊富なデータベースをもち、それを意思決定の際に自動的に利用させてくれる機械である。
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